TIEAF (Tokyo International Environmental Art Forum)は、2000年から10回に渡り、韓国・釜山で開催されてきたBIEAF (Busan International Environmental Art Festival)「釜山国際環境芸術祭」の日本支部として、2005年に東京造形大学出身の吉野祥太郎により設立され、その後2009年より独立し「東京国際環境アートフォーラム」として活動の幅を広げてきました。フォーラムでは、アートと社会との関係性や、地域文化・風土との関わり、具体的な実社会への反映という観点での「場」に対する影響力など、現代の社会環境を形成する上で重要な役割を果たしていく事を目的としています。
2013年には、日本を始め、韓国、アメリカ、イギリス、フランス、スウェーデンの総勢19名のアーティストによる環境アート展を、日韓を中心とした国際文化交流の場であり、美しいギャラリーを持つ「駐日韓国大使館 韓国文化院」にて開催いたしました。本展では絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーション、サウンドアートなど、幅広いジャンルの現代美術や環境アート作品を展示するとともに、参加アーティストと森美術館アソシエイトキュレーター、椿 玲子 氏によるシンポシウムや、ワークショップ等も行いました。
シンポジウムでは、国内外4名の参加アーティストが登壇し自らのアート作品が現在の環境とどのように呼応して制作され、アーティストとしての行為、役割をどのように考えるかなど、大変意義ある考察発表になった事と思います。
なかでも、東京造形大学出身の南条嘉毅、吉野祥太郎の2名と、NY出身のJames Jackは、「土」という独特な素材をそれぞれの価値観の中で再具体化し、アクションやインスタレーション、映像、平面作品としてアートに還元し発表を続けています。アートというものが素材の重要性を意識されることが多い中、素材とどのように向き合い行為を加え、意味を持たせ喚起させる事ができるかということを重要な課題として見せる事ができたのではと思います。
また、ワークショップでは、土そのものを素材とし風景画やインスタレーション作品を手がける南条嘉毅によるワークショップがあり、参加者が持ち寄った土や会場付近の土を使用し、手作りのオリジナル絵の具で好きな絵を描き、マイタンブラーを作りました。参加者からは「新しい発見がたくさんあった」との声が多く、ご家族で参加の方々は、「ぜひ家でもチャレンジしてみたい」と、大変喜んでいらっしゃいました。また、コーヒー豆の袋を使用した作品を多く手がける三木祥子と、バリスタとしても活動する東京造形大学出身の岩野仁美による、フェアトレードコーヒーのテイスティングを開催。一粒ずつ丁寧に手摘みで収穫された無農薬・有機栽培のコーヒーを、来場者に実際に味わっていただきました。このコーヒー豆は、東ティモール のマウベシの霧深い山中、標高1500メートルの高地で育てられているもので、コクがあり、風味豊かな味わいが特徴です。『土で描くタンブラーづくり』のワークショップで作った、オリジナルのタンブラーで楽しむ方もおり、自然の恵みを存分に味わいました。
オープニングパーティーには、300人を越えるお客様にご来場いただき大盛況の初日を迎え、夏の暑い時期にもかかわらず、来場者は5日間で約1000人となりました。来場者の展覧会についての印象は、全体としてまとまりがあり、心地良い空間となっている、というご意見が多く聞かれました。土そのものを使用した作品や、自然物をモチーフとした作品、環境問題をテーマとする作品なと、様々な異なる環境の中で制作するアーティスト19名が、それぞれが考える環境アートを展開いたしました。
会期中には8名の外国人アーティストとご家族が来日し、日本人アーティストとの親交はもとより、美術館・大使館・ギャラリー関係者、通訳やボランティアスタッフ、そして会場を訪れた方々とのたくさんの心温まる交流があり、環境アートを身近にお楽しみいただける国際フォーラムとなった事と思います。
TIEAF代表 吉野祥太郎(2004年彫刻専攻卒業)
展覧会概要
【展覧会名】
TIEAF2013 - Tokyo International Environmental Art Forum -
東京国際環境アートフォーラム
【会期】 2013年8月6日(火)〜8月10日(土)
【会場】 駐日韓国大使館 韓国文化院 ギャラリーMI、ハヌル庭園
【参加作家(本学関係者)】
*教員 クリストフ シャルル / 南条 嘉毅
*卒業生 岩野 仁美 / サクサベ ウシオ / 小野 耕石 / 吉野 祥太郎
【主催】 TIEAF 東京国際環境アートフォーラム
【協賛】 東京造形大学校友会、日韓文化交流基金
【後援】 駐日韓国大使館 韓国文化院、ブリティッシュ・カウンシル、スウェーデン大使館、東京新聞、読売新聞社
【協力】 特定非営利活動法人パルシック、ユカリアート、アートフロントギャラリー
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