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<秋田寛>
1958年兵庫県生まれ。東京造形大学ビジュアルデザイン化卒業後、田中一光デザイン室を経て、1991年アキタ・デザイン・カン設立。社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)新人賞、東京アートディレクターズクラブ原弘賞、日本パッケージデザイン大賞銀賞、ニューヨークADC銀賞・銅賞、ASIA GRAPHICS AWARDS優秀賞、MEDIA GRAPHICS AWARDSほか受賞、入選多数。主な展覧会に、GRAPHIC WAVE 1997(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)、個展「YAKUMONO」(HBギャラリー)グラフィックトライアル2009(印刷博物館P&Pギャラリー)。社団法人日本グラフィックデザイナー協会会員、NEW YORK ART DIRECTORS CLUB会員。1998年から2012年まで、母校の東京造形大学で教鞭を執った。2012年10月、脳腫瘍のため逝去。
2012年10月、秋田寛氏がお亡くなりになりました。東京造形大学を1981年に卒業され、田中一光デザイン室を経て1991年に独立。デザイナー、アートディレクターとして多忙な傍ら、1998年から本校の教員(2004年に教授)として教壇に立ち、休職された2012年まで、グラフィックデザイン専攻のリーダーとして学生を、そして教員をぐいぐいと導いていった方でした。享年53才。あまりにも若い死です。
アートディレクターとしての秋田寛氏の作品の特徴は「力がある」。ポスターや書籍の画面いっぱいに広がる色彩の強さ、コントラストの強さ、極太だったり弾むようだったりする文字の強さ、それらを引き立てる空間の使い方。真っ正面から、余計なことを言わず大きな声で伝えたいことが伝わって来ます。
少し毛色が違うように思える「黒川勉のデザイン展」(2006年)のポスター。タイトルもキャッチコピーも控えめに配置されている中、白い空間に黒川氏がデザインした椅子がぽんと置かれた写真を使っています。
この展覧会は、その前年に急逝した黒川氏の作品展でした。作り手/親がいなくなってしまった椅子が、白い空間の中で消えて行ってしまいそうで、「待って待って、行かないで」と思わず口に出してしまいそうな感覚に捕らわれていると、控えめなキャッチコピーが目に入ります。
「デザインに近づいていく」。
はかないものが人を引き寄せる力がここにあるのです。グラフィックの持つ力、その使い方を知る秋田氏だからこそできるデザインでしょう。
私が本校に就任したのが秋田氏の休職された一昨年からで、実際に秋田「先生」としての顔をほとんど知りません。ですが、秋田氏が学生や教員、職員への影響力や、伝えていったことはしっかりと根付いています。ふと「黒川勉のデザイン展」のポスターに感じたような「行かないで下さい」という気持ちになるのですが、秋田氏が残していったものは大きく、はかなく消え去ったりはしません。やはり「力がある」のです。
24期 デザイン学科 デザインI類
東京造形大学准教授
デザインジャーナリスト
渡部千春
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