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生田雄樹 40期 美術学科彫刻専攻
hochschule fur bildende kunste/ドイツ
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以前から聞いてはいたものの、ドイツまたは海外の大学に留学する為にかかる時間と労力は予想通りというべきか以上というべきか、今ここで振り返ってみると予想以上に長かったと思います。単に語学勉強から大学選びと準備などドイツに来てから実際に行ったものが費やされただけだとも言えます。それについては書ききれないので割愛しますが語学に関してはじっくりと時間をかけて習得すべきだと実感しました。私はその土地の言葉を知り人と性格を知る事から留学は始まると考えます。
通っている大学はハンブルク造形美術大学(Hochschule fur bildende Kunste、公式略名称HfbK)は反アカデミック、脱・技巧主義と言うべきか、技術的指導を嫌い何よりも先ず考える事、自分が何を考え形にしたいのか明確にする事に重点を置く校風のようです。一般的な例ではあるものの、その為か一度別の専門の大学を出てからHfbKに入る学生が多くおり、すでに独自の専門技術またはスタンスを既に持っている人も少なくありません(昨年の兵役免除の法改正により十代の為に傾向が変わりつつある様ですが)。
私のクラスは基礎クラス(後期)で、担当教授は画家のアーヒム・ホープス(Achim Hoops)です。かといって私が絵画を勉強している訳ではなく、この1年間は絵画、彫刻、舞台美術の専攻希望の学生と混合でクラスが成り立つ自由な雰囲気の中で制作ならびに授業を行いました。授業というのは週に1度のクラスの集まりがあり毎回任意で作品の講評をします。自分が作品を説明する時に限っては自分のペースで会話できるので問題ないのですが(もちろん緊張で胃がきしみはするものの)、他人の講評最中の私はどうしても語学力の問題上その議論の中に入って行けない典型的日本人であり、その他講義セミナーも同様分からなかった内容をその後他の学生に聞いたりとまだまだ不慣れさを感じる状況の中にいます。しかし学生との付き合いは良好で語学の壁を感じることも授業に比べてわずかです。お互いの目を見て話す事は言葉以上の理解を与えてくれると感じます。
作品制作とは孤独を愛し一人で考え作り上げる事をその理想にする私にとっていつだって一人で過ごす閉じこもった時間です。環境の変化はその時間と思考に強制的な変化を与え、自分の制作アイデアもまた意識的、無意識的に変化して行くような気がします。私の脳が記録するものインスピレーションを受けるものは日本とドイツの間にある近代都市的共通点の中で確かなズレを持ち、どこかではっきりと別のものになります。私が今興味を持って制作している主なテーマは、都市の中に共通して存在する公園です。大人によって子供の為と恣意的に設置された公園または遊具がどういった要素と意図を持っているのかを研究し、彫刻的手段で表現できないか試行錯誤しています。
今回制作した作品は子供のときに抱いた気持ちと今になって持つ感情との距離の様なものが表現でればと思って作りました。今年の5月に学生同士のグループ展をギャラリーで行う機会があったのでその作品を発表したのですが、私の作品に興味を持ってくれたドイツ人の方が作品を見て思い出話をしてくれました。『ある日突然に親からいつまでも遊具で遊んでるなと怒られた』という話だったのですが、その人は話しながら遠い記憶を思い起こし嬉しそうに時に悲しそうに私に語りかけてくれました。その作品を通して鑑賞しに来て下さった方と交流できた事はいい経験です。またそう言った交流を通じてドイツ人への理解と自分の思考が深まった事は今回の留学での1つの成果と言っても良いかもしれません。
まだまだ問題や課題は山積みで金銭的にも厳しい日々が続いていますが、奨学金という形で手助けして下さった交友会の方々に深く感謝致します。ありがとうございました。
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