ZOKE.NET HOME PAGE
校友会員ウェブギャラリー
 
瀬畑 亮 31期 美術学科II類・彫刻 卒業
■Gallery TOP

■Friends Gallery

■留学生 Report


 

セロテープアート(R)の原点

 私が「セロテープアート(R)」を始めたのは6歳の頃で、勿論始めは作品と呼べるものでなく、あくまで子供の遊びというレベルのものでした。よって最初の頃はよく母親から「もったいない事をして!」と叱られましたが、それでもやり続けているうちに人形や動物等、次第にそれなりのものが作れるようになって来ました。それに連れて母親が理解を示してくれるようになり、その「セロハンテープ遊び」を飽きずに現在までずっとやり続けて来たというのが私の「セロテープアート(R)」の原点です。
 私は作家にとって大切な事は、自分が何かを表現したいと思った時の「初心」であり、おそらく殆どの方が幼少の頃から絵を描く事や物を作る事が好きだった等、何かしら幼少時代の経験や気持ちに基づいて作家活動を行っている方が多いと思います。しかしだからと言ってただ単に「好きだから」と言うだけで作家として生き残って行けるような甘い世界ではないと思います。
 そういう意味では幸いにも私は東京造形大学の彫刻科で、4年間きちんと具象作品を制作する上での基礎を学ばせて頂いたお陰で、現在作家として活動し続ける事ができているのだと感謝しています。社会人となった今、身をもって実感している事は、学生時代に基礎をしっかりと学ぶ事の大切さであり、その有り難みは日増しに大きく膨らんできています。
 私は本年の年末から来年の2月半ばにかけて、練馬区立美術館で「セロテープ(R)誕生60年記念 瀬畑 亮 セロテープアート(R)展」という展覧会(個展)を開催させて頂く事になっており、本展では初期作品から新作までを含んだ約60点程の作品を展示する予定です。私のセロテープアート(R)作家としての歩みや成長の過程が垣間見られるような展示としたいと思いますので、是非一人でも多くの方々に会場に足を運んで頂きたいと思っています(詳細はこちら)

「既成概念」を打ち破り、
新たな発想やものの見方を提案して行く。
それこそが私の「セロテープアート(R)」の本質であり、
すべてはそこから始まりました。


 近年になって私は教育業界や美術館等でワークショップや講演会等の機会をいろいろと頂くようになりましたが、私のワークショップ等でのメインテーマは常に人の「既成概念を崩して行く」というところにあります。これはワークショップの時だけに限りませんが、私の「セロテープアート(R)」を初めて見たり聞いたりした方は必ず「エッ!これがセロテープ(R)で出来ているの?」と驚きますが、それは誰もが既成概念や常識の範疇から、「透明なセロテープ(R)でこんな立体作品が出来る筈がない!」と思い込んでいるからだと思います。実際ワークショップや講演会という短い時間の中で参加者の皆様方にセロテープアート(R)を体験して頂いても、私が数ヶ月や年単位の時間をかけて制作する作品のようなものができる訳もないので、「何であんなものが作れるのだろう!?」と不思議に思われるのも仕方ありません。しかし私がワークショップ等の機会で一番伝えたい事は決して「セロテープ(R)で上手に作品を作る事(手法)」でなく、「セロテープ(R)でもこんな作品ができるのです」という全く新しい概念や刺激を与えることで、正に参加者の方々の既成概念を崩し、新しいものの見方や発想の転換に結びつけるきっかけとして考えて欲しいということなのです。

子供たちの自由な発想や才能を認められる
社会作りを目指して


 冒頭にも触れましたが、私は幼少の頃(6歳の頃)から現在のセロテープアート(R)の原型となる「セロハンテープ遊び」を始めたのですが、その当時に母親が学校にも行かずに部屋に閉じこもって没頭していた私の「セロハンテープ遊び」を、「この子の才能として認めよう」と大きな理解を示し、才能を育んでくれた事が私の「セロテープアート(R)」のすべての始まりでした。よって母親が最初に常識や既成概念の殻を打ち破り、私の「セロハンテープ遊び」に対して大きな理解を示してくれなければ、現在の私はなかったと言っても過言ではありません。
 子供というのは時に大人が思いもしないような事を思いつき、自分が楽しいと思った事はどんな馬鹿らしい事でも執拗にこだわり続けるものなので、子供が何かにこだわりを見出した時に、周囲の大人がその行為を「もったいない」や「馬鹿らしい」事として片付けるか、「素晴らしい才能だ」と認めて子供の感性を育んで行くかによって、その子の人生が大きく変わって行くものだと思います。
 私は自分の「セロテープアート(R)」の活動を通して、多くの子供達を始め大人の方々まで自由にいろいろな素材を使い、楽しんで作品を制作出来るような「アートに理解のある社会」を作って行く事が、作家としての私の最大の目標であり、それこそが私がアーティストとして生きて行く事の意味だと思っています。


 本年の12月18日から開催される練馬区立美術館での展覧会の際にも、毎週土曜日にアーティストトーク&デモンストレーションを行う予定です。一人でも多くの方に参加して頂き、私のセロテープアート(R)を体験する事で、既成概念の殻を打ち破り、アートに対する理解を深めて頂ければ幸いと思っています(詳細はこちら)


<瀬畑 亮 / Ryo Sehata>

1974年 東京都出身
2000年 東京造形大学 美術学科II類・彫刻 卒業

■主な展覧会やその他の活動
2002年
「<セロハンテープアート> やわらかくて かたいもの」 ギャラリーQ 、東京 (個展)
2003年
「国際現代美術展−21世紀現代美術と今−」 光州ビエンナーレ美術館、 韓国
2005年
「MUSEUM LABORATORY 2005」 CASO海岸通ギャラリー 、大阪
2006年
「瀬畑 亮展 セロハンテープアート 〜ROLLING SCULPTURE〜」
アートスペース羅針盤、東京(個展)
2006年
「平成17年度 第2回 教員美術講座 先生のためのワークショップ」 講師  
埼玉県立近代美術館、主催:埼玉県教育委員会

幼少時代からセロハンテープで人形を制作し始め現在に至る。芯材を全く使わず、一からすべてセロハンテープを巻き付けて造形するという独自の技法を用い、「セロハンテープアート」として1999年より発表活動を始める。
現在はテープメーカー大手のニチバン株式会社とサポート契約を結び、作品発表だけでなく教育業界でワークショップや講演会を開催する等、美術業界だけに留まらずさまざまな業界・業種の中で活動の幅を広げている。
2007年にニチバン株式会社が「セロテープアート(R)」、「セロハンテープアート(R)」の商標権等を取得。以降本格的に「セロテープアート(R)」の第一人者として更に活躍の場を広げている。

 





*画像をクリックすると
 詳細ウインドが開きます。


Copyright©2005-2008,ZOKEI FRIENDS OFFICE. All rights reserved.