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四美大アラムナイ 「美術を楽しむ日」 イベントレポート
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 女子美術大学同窓会、多摩美術大学校友会、東京造形大学校友会、武蔵野美術大学校友会からなる「四美大アラムナイ」。初の共同イベントが、桃井かおり氏・犬童一心氏・東良雅人氏・降旗千賀子氏と豪華なゲスト登壇者を迎え、2018年10月6日(土)、女子美術大学杉並キャンパスで行われた。
 
 
・美術の素晴らしさと可能性を伝える「美術を楽しむ日

 すでにZOF46号で紹介したが、女子美術大学同窓会、多摩美術大学校友会、東京造形大学校友会、武蔵野美術大学校友会の四校が連動した校友会同窓会として「四美大校友会同窓会連合(以下愛称、 四美大アラムナイ、を使用)」を発足。四美大アラムナイは、10月2日を「美術を楽しむ日」として社団法人日本記念日協会に申請、登録認定された。
 10月2日は、秋が「芸術の秋」として親しまれている季節であり、「びじゅ(10)つ(2)」(美術)と読む語呂合わせから来ている。若い人々をはじめとしてすべての人に美術を身近に感じ体験する機会をもってもらい、美術の素晴らしさと可能性を伝えることが目的だ。
 ここで言う「美術」とは、デザイン、建築、工芸なども含む幅広い意味を持つ。改めて四美大アラムナイが美術を楽しむ日制定に合わせて出した「提唱したいこと」を引用してみよう。

 
「社会・文化は理想を求め想像力をもって創り上げられてきました。AI化が著しく進展している現代社会では、人として互いを理解し豊かな社会を創出する新しい視点がこれまで以上に求められています。美術・デザインの本質は「感じて、考えて、表現する」という創り出すプロセスそのものであり、社会・文化の創造に必要な力です。
人が幸せに暮らしていくために欠かせない術として、美術が多くの人々に認知され浸透して行くことを願っています。」

 
 今の日本は新しいビジネスモデル、新しい社会の在り方を、まだうまく生み出せずにいる状況だ。新しさの創出に美術教育は貢献ができるはずではあるが、一般的な「美術」という言葉のイメージは狭く、新しいものを提案、創造するものと思われにくい。
 美術を楽しむ日はこうした一般的認知を広げ、美術の可能性に気付いてもらうための一つの試みである。

・1人で行動する意味

 10月6日の第1回イベントは『美術が育む想像力・創造力』をテーマとし、それぞれの登壇者が小中高生や生涯教育としての美術、一般の人が美術に触れる機会である美術館など「親子で楽しむ美術」を語った。

 当日は会場となった女子美術大学杉並キャンパスの付属中学・高校の受験生説明会が行われた事もあり、約300人を収めるイベント会場には進学を考える子供と父兄や、小学中学高校の美術関係者が集まり盛況となった。

 
 講演の前半では中学校、高等学校の美術教育を普及、啓蒙している第一人者である、文部科学省視学官の東良雅人(ひがしら・まさひと)氏による「学校で育む ?生涯にわたって美術を楽しむ心?」、目黒区美術館学芸員として、素材や色をモチーフとする美術館で行う展示、ワークショップの企画を継続している降旗千賀子(ふりはた・ちかこ)氏の「美術を楽しむ・美術館のユニークな試み ?ワークショップから「色の博物誌」」が話された。

 
 いずれも実践のレポートだけではなく、これからの考え方を提案するもので、会場ではメモを取ったり、うなずいたり時には笑いが起こったりと、東良氏、降旗氏の話が人々の心を掴む内容となっていた事が伺えた。



 
 後半は女優、映画監督としても活躍する桃井かおり氏と本学校友会会長、映画監督、CM ディレクターの犬童一心氏のトークライブ。ファシリテーターは本学の地主広明常務理事/教授が務めた。

 
 桃井氏は女子美術大学付属高校、犬童氏は東京造形大学の映画ゼミ卒とそれぞれの美術教育経験は異なるが、「1人で行動する意味」については共通していたのが興味深い。
「絵は1人で描かないといけない。自分の好き嫌いとか、自分の美意識がある程度形になるまで1人でいられた」(桃井氏)

 
「大学に入るまで映画の話をする仲間もいなかったので、映画を見て研究するのを1人で活動していた、その1人で考えている時間、1人で可能性を見つけることが良かったと思う」(犬童氏)

 
 集団意識の強い日本は、協調性は高いがその中から独創性は生まれにくい。1人で考える事はこうした状況を打破するヒントとなるのではないか。

 13:00から16:30まで3時間半のプログラムはあっと言う間に終わった印象である。このイベントをきっかけに参加者、そして参加者の友人知人から徐々に美術の面白さと可能性への気づきが広がっていくことを願う。

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